お茶は教えてくれる。「長い目で、今を生きろ」と。

子どものころにはわからなかったフェリーニ監督の『道』に、今の私はとめどもなく涙を流す。理解しようと努力などしなくとも、胸えぐられる。人には、どんなにわかろうとあがいたところで、その時がくるまで、わからないものがあるのだ。しかし、ある日、わかってしまえば、それを覆い隠すことなどできない。
お茶を習い始めた時、どんなに頑張っても、自分が何をやっているのか何一つ見当もつかなかった。けれど、二十五年の間に段階的に見えてきて、今はなぜ、そうするのかがおぼろげにわかる。
生きにくい時代を生きる時、真っ暗闇の中で自信を失った時、お茶は教えてくれる。
「長い目で、今を生きろ」と。

『日日是好日(にちにちこれこうじつ) 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』
森下典子(もりした のりこ):著 飛鳥新社 2002年
8~9ページより

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