「この石は特別に天に愛され、雨や風に愛されたから、この形になったのだと言われているの」

(前略)それは歴史を語り、形を残しているはずの遺跡の一部で、永い時の流れの中で繰り返し繰り返し風雨に打たれ、すっかり丸みをおびた石となっていました。
私の大切な友人でもあるトルコ人のガイドさんが、その石の説明を
「雨や風のせいでこうなったのではなくて、この石は特別に天に愛され、雨や風に愛されたから、この形になったのだと言われているの」
と伝えてくれました。
その表現が教えてくれるように、ときおり私たちの心にふれてくる痛みや苦しみもまた、私たちを愛してくれているから…。これらのものが訪れるのは、その痛みの向こうの「成長」という世界に、私たちが愛されているからです。

『聖なる母性より愛をこめて』 
姫乃宮亜美(ひめのみや あみ):著
飛鳥新社 1996年
171ページより

※転載者より:原本においては、” 「雨や風のせいで…」 ” の ” せいで ” の部分に、強調する意味での「・」が右横に振ってあります。

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