三十代、四十代、ただ愚直に目の前のトンネルを匍匐前進する以外にないのでは

三十代、四十代の頃、本当に迷い多く、悩み深い毎日だった。いつまで経っても夜明けが来ないように感じていた。
しかしいま思うのは、この年代は、そうした人生の暗闇を真摯に、必死に生き抜くときなのではないか、ということだ。
わたしにはなぜかこの年代の女友だちが非常に多く、話をするたびにその不安や苦しみに胸を痛めるのだが、そして真面目で心優しく、とても魅力的な賢い彼女たちに、なんとか楽になれる処方箋を出してあげたいと願うのだが、どうもこの時期に処方箋はない、という結論に達してしまうのである。
たとえいっとき、ちょっとした人生訓などを読み、うまく切り抜けたような気がしたところで、再び同じことが起こる。近道などなく、ただ愚直に目の前のトンネルを匍匐(ほふく)前進する以外にないのではないかと思う。

『あなたは欠けた月ではない』
光野桃(みつの もも):著 文化出版局 2012年
195~196ページより

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