静かに、ゆっくりした歩みで

思えばなんと長い間、緊張して生きてきたことだろう。一生懸命がんばってきた。けれどもう肩の力を抜いて、ゆっくり生きてもいいのではないか。
麻のひんやりした質感に触れると、呼吸が深くなる。
自分で自分を縛っていた様々なもの――麻はそこからわたしを解き放ってくれる。静かに、ゆっくりした歩みで行こうよ、と。
そんな人生の季節が巡ってきたことが、なんだか嬉しいこの頃である。

『あなたは欠けた月ではない』
光野桃(みつの もも):著 文化出版局 2012年
86ページより

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