あなた自身が愛することをしていなかったからだよ

ひとは相手のネガティブな感情や波動に思いのほか敏感だ。だが、自分のことだけでいつも手一杯だった二十代のときにはわからなかった。他者は自分の鏡であるということも、すべて外の出来事は自身が作っているということも。
世界中の美しいものに触れ、チームを組む相棒と共に新しい誌面づくりの冒険に繰り出す活気に満ちた日々のなかで、ただ一点、胸につかえた小石のような「愛されない」という苦しみ――。
いまなら、そのときのわたしにこう声を掛けてやるだろう。
あなた自身が愛することをしていなかったからだよ、と。

『あなたは欠けた月ではない』
光野桃(みつの もも):著 文化出版局 2012年
144ページより

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