信じるものがあり、祈ることを知っているひとは強い

このひとは強いのかもしれない、とわたしは思い始めていた。ひどく繊細で、どこか怯えたようなところもあり、社会のなかでは弱い存在に甘んじてきたのかもしれないが、実はたおやかな強靭さを備えているのではないだろうか。
それはまた、クリスチャンであるということも大きいような気がした。彼女には祈りがあった。信じるものがあり、祈ることを知っているひとは強い。これまでの人生のなかでも空前絶後とも言える厳しい介護の日々に、彼女は唯一の頼れる相談相手だった。

『実りの庭』 光野桃(みつの もも):著 文藝春秋 
2011年 139ページより

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