ふとした親しみや思いやりの交流の中でこそ、ひとは生き延びることができる

そんなささやかな日々の積み重ねの中で、彼女が少しずつ息を吹き返していくさまを、観る者は震えるような気持ちで息を詰めて見守ることになる。それは気の遠くなるような時間であり、地味といえば地味すぎる日常であり、しかしその中で交わされるふとした親しみや思いやりの交流の中でこそ、ひとは生き延びることができるのだということを知る。

『実りの庭』 光野桃(みつの もも):著 文藝春秋 
2011年 170ページより

広告