あなたの気持ちがわからなくて、ごめんなさい

気がつかなかった、あなたの思いに。
あなたも言えなかったんだね。
どこかでこんなはずじゃなかったと思っていたかもしれないけれど、口に出せなかったのは、気遣いや優しさだったに違いない。人と関わることがあまり得意ではなく、自分の気持ちを抑えてしまうあなた。同じように不器用で、共同作業が下手くそだったわたし。お互い似たもの同士だった。
あなたの気持ちがわからなくて、ごめんなさい。精いっぱい助けてくれたのに。
海に向かって、心の底から彼女に詫びた。

『実りの庭』 光野桃(みつの もも):著 文藝春秋 
2011年 250ページより

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