何でも前向きに考えることで、じつに多くのことが乗り切れるものなんだ

「もちろんだよ。おそらくわたしはこの世の誰よりも楽天的な男だと思う。きみが想像するもっとも楽天的な男を一〇〇乗したのが、このわたしさ。言うまでもないことだが、何でも前向きに考えることで、じつに多くのことが乗り切れるものなんだ。消極的な人が多すぎるよ。たとえば誰かが、いくらなんでもそれは無理でしょうと言う。そんなときは、無理ってどういう意味ですかと問い返すことにしているよ。五年ほど前に夫婦でオレゴンのアッシュランドまで行ったことがある。そこでとてもすてきな家を見つけたんだ。しばらく前から売りに出されている物件で、いささか値段が高かった。そこでわたしは、いつものごとく、ばかみたいに安い値で申し込んでみよう、と妻に言った。それじゃ取り合ってくれないわよ、と妻は言った。たぶんね、とわたしは答えた。だが、こちらが失うものは何だろう。最悪でも、ノーと言われるだけじゃないか。べつに売り主を侮辱しにいくわけじゃない。こんなことをするわけをちょっと説明させてもらうだけのことだ。自分の提案をはっきり相手に伝えにいくだけさ。で、どうなったと思う? 相手はこちらの言い値を受け入れたよ」

『ティッピング・ポイント いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』
(原題 "The Tipping Point: How Little Things Can Make a Big Difference" )
マルコム・グラッドウェル( Malcolm Gladwell ):著 高橋 啓(たかはし けい):訳
飛鳥新社 2000年 94~95ページより

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