到着した場所が出発したとき予想していた場所ではないからといって、その旅が失 敗だったわけではない

しかし、緩和医療のこの根本的に重要な点が見失われているにもかかわらず、マウントは少しも落胆してはいない。それよりも医学界全体の明白な変化のきざしに注目している。
「最近の研究によって、身体、精神、スピリチュアルなものが相互依存の関係にあることが続々と立証されており、医学の本流でも〈癒し(ヒーリング)〉という概念に関心が高まっている。この癒しは、苦悩や苦痛を緩和し、全人的(ホリスティック)な観点から生活の質〈QOL〉を高めるものと解釈されている。人は癒されて死ぬことができるのだ! 現に、マギル大学医学部では、四年間の全課程で癒しを重視する内容にしようとカリキュラムを改編中だ」
到着した場所が出発したとき予想していた場所ではないからといって、その旅が失敗だったわけではない。システムの変容は、その変容を生みだすのに着手した張本人たちを驚かせることがしばしばあるのだ。

『誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる』
(原題 "GETTING TO MAYBE: How the World is Changed")
フランシス・ウェストリー( Frances Westley ),ブレンダ・ツィンマーマン( Brenda Zimmerman ),マイケル・クイン・パットン( Michael Quinn Patton ):著
東出顕子(ひがしで あきこ):訳
英治(えいじ)出版 2008年 258~259ページより

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