私は、ほかの人の立場に身をおく勇気とビジョンを持ち、人が自分で自分を救う方 法を見つけたいと決心した

西側は現代の凶行に対して、古い部族間の憎悪をめぐって起きたとか、国際援助が道を外れたとか、政治腐敗とか、安易な回答を求める。現実の世界には何の役にも立たないことだ。たしかに実行犯は自らの行為の責任を問われなければならず、犠牲者が癒されるには正義がおこなわれる必要がある――この国の一人ひとりが犠牲者だ。同時に、私たちの世界の課題は、単に処罰の方法を決めることではなく、こうした恐ろしい事態をどうやって防ぐかにある。こうした事態は、私たちの心の奥深くにある、“他者” への恐怖からしか起こりえない。金持ちは自分たちがシステムを超越していると考え、貧困層は完全に排除されていると感じているような世界は、こうした恐怖をかき立てる。
私は、ほかの人の立場に身をおく勇気とビジョンを持ち、人が自分で自分を救う方法を見つけたいと決心した。人間はみな平等に創られたという思想をすべての人に実現する仕事の一旦を担いたかった――世界は当時でさえ小さくなりつつあった。アニエスはどこかで、恐れと権力への欲望にかられて、私たちの共有する人間性の概念をわきに押しやったにちがいない。しかし私には決してわかることはないだろう。

『ブルー・セーター 引き裂かれた世界をつなぐ起業家たちの物語』
ジャクリーン・ノヴォグラッツ( Jacqueline Novogratz ):著
北村陽子:訳
英治(えいじ)出版 2010年 274~275ページより

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