名画はときとして、こんなふうに、人生に思いがけない啓示をもたらしてくれる

名画はときとして、こんなふうに、人生に思いがけない啓示をもたらしてくれる。それが、名画が名画たる所以なのだ。構図や、色彩や、バランスや、技巧の秀逸さばかりではない。時代性、対象物への深い感情、ひらめき、引きの強さ、言うに言われぬむずむずした感じ。見る者の心を奪う決定的な何かが、絵の中にあるか。「目」と「手」と「心」、この三つが揃っているか。それが名画を名画たらしめる決定的な要素なのだ。

『楽園のカンヴァス』 原田マハ:著 
新潮社 2012年 22ページより

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